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エフェクタ―を作ろう!!【番外編その1】音が出ないときは? [エフェクタ―の作り方]

自作エフェクター入門編は前回で完結しました。
一発で上手く完成できれば良いのですが、なかなかそう簡単には行きません。
せっかく作ったのに、音が出ない・変な音しか出ない。
なんてことは頻繁に起こります。
はじめのうちは、一発で上手く行く方が少ないです。

今度は番外編として、うまく行かなかったときの対処法を紹介して行きましょう。

症状を確認

まず最初に、自分の作ったエフェクターがどんな風に”動かない”のか把握します。

0.テスト前の準備

エフェクターが上手く動かないときは、突如として非常に大きな音が出る可能性もあります。
最悪の事態に備えて、アンプの音を大きくしすぎないように。
小さめの、何なら壊れてもいいようなアンプでテストしましょう。

1.音は出るか?

まず、エフェクターが現状で全くの無音かどうか調べます。
何度かフットスイッチを踏んでみたり、ケーブルプラグを動かしてみたり、ツマミを回してみたり、いろいろします。

・なにをやっても無音なのか?
・ある特定の時だけ音がでるのか?
・ツマミの位置によっては音が出るか?
・サーッというノイズは出ているか?
と、まずは、全くの無音なのか、特定の条件では音が出るのか?それをはっきりさせます。

2.LEDは光るか?

音が出なかったとして、フットスイッチを踏んだ時に LED が光るかどうか?
全くLEDが光らない時は、スイッチ周りの配線か、電源周りのエラーが考えられます。

3.バイパス音は出るか?

フットスイッチを何度か踏んでみて、バイパス時は音が出ているが、エフェクターONにした時に音が出なくなる。

この場合は基板周りが怪しい。

4.ツマミは動作するか?

ツマミを回したときにどうなるかも調べます。
無音だけど、ツマミを回したときにザーッとかガリっとかノイズが出るならば、配線周りは問題ない可能性があります。

エフェクター音っぽいものは出ているけど、ツマミを回しても変化がない、というときは、POT周りも含めた配線に問題がある可能性大です。

5.エフェクター音がどんな状態か?

エフェクターをONにしたときに、音は出ているのだけれども、変な音だったり、凄く小さな音しか出ない。

という状態のときは、基板のパーツの値や基板裏のパターンが間違っている可能性が高いです。

原因を調べる

大体の症状が分かったら、原因を調べて行きましょう。

0.電源・プラグをチェック

まず最初に、落ち着いてケーブルや電源のプラグをチェックしましょう。
完成直後は興奮しているので、INとOUTを逆に挿していたり、センタープラスのDCアダプタを使っていたり、容量切れになっている電池を使っていたり、アンプにケーブルを挿すのを忘れていたり、ありとあらゆるミスをしがちです。
ちなみに自分は今挙げたエラーは全て経験済みです。

「ソケットにしていたICやトランジスタを挿し忘れていた」なんてこともよくあります。

「音が鳴らない!?」と慌てないで、まずは落ち着いて状況をチェックしましょう

1.配線のチェック

「音が鳴らない・LEDも光らない」という絶望的な状況の時は、どこか配線が間違っている可能性が高いです。
配線図を見ながら良~くチェックしましょう。

パッと見では間違っていないように思えても、ハンダ付けがうまく出来ていない場合もあります。
線を軽く引っ張ってみたり、つまようじや絶縁処理されたドライバーの先などでつっついてみたりして、動くようならハンダのやり直しです。

エフェクターに通電しながらチェックするときは、必ず電気を通さないもので触れましょう。
「エフェクターぽっちの電圧じゃあ感電なんかしないよチキン野郎」と思う人もいるでしょう。
けれどもエフェクターの先には超高電圧のアンプが待っているわけですから、どうせなら安全には気を付けた方が良いに決まってます。

静電気でICなどを壊してしまう可能性も無いわけじゃあないので、くれぐれも直接手で触れてチェックしようなんて思わないように。
それでもめんどくさくなって手でちょいと触ってみたくなっちゃうのが俺みたいなダメ人間なんだけど。

2.基板のチェック

「一応音は出るんだけど、変な音」なんてときは、基板上のパーツの値や裏のパターンが間違っている可能性が高いです。

設計図をよ~く見ながら、基板の裏表をよ~くチェックしてください。
「絶対間違ってないし、2回チェックしたけどミスは無かった」と思っても、3回目、4回目にミスが見つかるなんてことは当たり前にあること。

まず「間違っていない」という考えを捨てること。
間違っていなきゃエラー何て起こらない。

「どこかにミスがある」と思いながらチェックをしないと、何度やっても見逃してしまいます。

抵抗やコンデンサの値は、慣れるまでは見分けるのが大変だと思います。
このブログにFlashを使ったバリューチェッカーを置いているのですが、今はほとんどのブラウザでFlashが見れなくなってしまいました。
これが無いと自分も不便なので、いつか近いうちに何が別の方法を考えようと思っているのですが、いつになるやら・・・

もうひとつ厄介なのが、回路の場所によって、ほんの少し値が違うだけでも動作しなくなるところがあるかと思えば、桁が2つくらい違っても動いてしまう場所もあります。
後者の場合「ちょっと変な音」になるだけで、間違いに気が付かないこともあります。

3.ハンダのチェック

エフェクト音が出ないときは、基板裏側のパターンのハンダも疑ってみましょう。
芋ハンダになっていないか?
ハンダブリッジ(ハンダが多すぎて隣のパターンや銅箔に触れている)はないか?
リード線が断線していないか?

などなど、他にも一見大丈夫そうに見えても実はハンダが浮いていたり空洞があってきちんと通電していないこともあります。

4.いろいろ突っついてみる

断片的に音が出たり、音が出るときと出ない時があったりするのは、どこかで接触不良が起きています。

ハンダミスや断線など目視で確認しにくい箇所は、突っついたり押し付けたり引っ張ったりして多少強引に確認します。
先にも言いましたが、通電中にパーツに触れるときは絶縁素材のものにしておきましょう。

慣れてきたら、わざとドライバーやピンセットなどで通電させてみるやり方もありますが、かなり危険も伴いますので、初心者には絶対におすすめしません。

つまようじとか、竹串とか、プラ製の棒とか、絶縁手袋をするとか、とにかく気を付けながらツンツンしましょう。

大抵の場合、このツンツン作業でエラーを発見することはできません。
それでも藁にも縋る気持ちでツンツンしながらエラー箇所が発見出来たらラッキー。くらいの気持ちで。
でないと、だんだんイライラしてきて、ついツンツンする手にも力が入ってしまいます。

力を入れても症状は回復しません。せっかく作った基板やパーツを壊すだけです。
落ち着いて冷静に事を勧めましょう。

5.回路図・レイアウトを疑う

これだけやってもどこが悪いのか見つけられなかった。
最後の手段として、回路図やレイアウトを疑ってみましょう。

特に、書籍として販売されているものは疑ってかかった方が良いでしょう。

本というのはいろいろな人の手がかかって作られます。
関わる人が多くなる分だけ、エラーの確率は高くなります。

回路図とレイアウトが違っていたり配線図が違っていたり、いろいろなエラーがあります。
このブログでも、何度かそういったエラーを紹介して来ました。

今は、ネットも普及して、訂正情報などが簡単にHPで確認できるようになりました。
エフェクター自作本に限らず、ギターの教則本など情報系の書籍を買ったら、まず最初にHPで訂正情報を確認しましょう。
間違ったまま覚えたり作業を進めてしまうのは大きな損害です。

まだネットが普及していなかったエフェクター自作黎明期にみんなのお手本となっていた「ハンドメイド・プロジェクト」という本があるのですが、この本にもエラーが何個もありました。

しかし悪いコトに、本文中で筆者が「間違いは絶対に無い!音が出ないならそれは作ったお前のせいだ!絶対に出版社や筆者に質問などしてこないように!!」と明言していました。

なんでこんな無責任なこと書いたのかは分かりませんが、実際にはエラーは何個もあります。
本の通り間違っていないはずなのに作っても音が出ない。

「ああ、俺には自作は向いていないんだな」となって、そのままやめてしまう人もたくさんいたでしょう。
それでもこの本のおかげで自作を始めるひとがかなり増えたので、プラマイ的には大きくプラスだし、エフェクター自作に対する貢献は計り知れないです)

逆にネットの情報は間違いが見つかれば即座に修正することができます。
また、エフェクター自作に関して言えば動作確認済みのレイアウトには「verified」と記すのが通例になっています。
自分のレイアウト・アーカイブページでも確認済みのレイアウトは備考欄にverifiedと記してあります。
まだ動作未確認の物は "Unverified"となっています。
(スマホやタブレットだと隠れて見えなくなっていることもあるのでPC閲覧推奨)

初心者はベリファイドのレイアウトを使用することを強くおすすめします。

また、当ブログでは、Unverified のレイアウトを実際に作ってみて動作確認してくれる猛者たちを強く募集しています。
「やあやあ我こそは!」と腕に自信のある方は是非とも挑戦お待ちしております。

失敗しないコツ

エフェクター自作で失敗しないコツは、とにかく「チェック、チェック、チェック」しかない。

基板にパーツを乗せる前に値をチェック、ハンダ前にも値をチェック、ハンダ後にも値をチェック、ハンダの状態をチェック。
いくつかパーツをハンダしたら一旦チェック、基板が出来上がったらチェック、レイアウト見ながらエラーのチェック、ハンダミスがないか全部チェック。パターンにショートが起こっていないかチェック。全部チェックし終わったらもう一回チェック・・・・・・・

と、最初のうちはチェックにばかり時間がかかるかもしれないけれども、慣れてきたらちょっと見たり触れたりするだけで何となく分かるようになる。

で、どれだけチェックして慎重に作っても、ミスは起こります。

「ミスは起こり得る」と意識しながら作ることが大事です。一番のコツです。
そうすることでより丁寧になり、チェックも怠らず、結果的にミスが減るのです。

「俺はミスなんてしねーよ!」っていうヤツは大抵ミスします。飲酒運転で事故るヤツと一緒です。

また、上手く行かなかったときに、原因を調べ修理する。
これを繰り返すうちに、だんだんと自分が間違えそうな場所、よくありがちなミス・エラーなどが分かって来ます。

すると、制作中も自然とミスをしそうな場所は丁寧に慎重に作業するようになります。

ミスを失くすことよりもリカバリーすることの方が重要です。
ミスをしてもイライラせずに、これも修行の一環だと冷静に受け止めましょう。

「ミスを恐れずに、ミスは起こり得るものだ」と心得ましょう。それが一番のコツ。

長くなったので、実際に修理したりパーツを変更して改造する手順は次回【番外編その2】に続きます。


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まさお

エフェクターの音が出ない対処方法の記事ありがとうございました。
凄く勉強になりました。
最近も制作したエフェクターの音が出ずにガッカリしてなんとか原因究明したいのですが、原因がわからずに心が折れそうでした。
またこの記事を見て再度挑戦してみようと思います。
ちなみにエフェクターはワンプラーのtweed57とソバットdb-2を挑戦しています。
次回の記事も楽しみにしてます。
by まさお (2020-06-03 07:50) 

KOVCH

まさおさん、こんばんは。
慣れるまでは何度も失敗して修正するのを繰り返すのみです。
そのうちに自分がミスしやすい場所が分かってくるので自然と気を付けるようになります。
それと、最初は確実に作れることが実証されているレイアウトを使った方が良いですね。
by KOVCH (2020-06-04 21:04) 

まさお

ありがとうございます!
そうですよね、何度か自分で修復しないとですね。
今まではミスの度に修復箇所を探すより一から作り直した方が早いと思ってやり直してましたが、時間はかかるけどしっかり修復点を探して確認してみます。
ジャンパーして音がどこまでなってるかの確認などネットで調べると色々出ていたのですが、イマイチ上手くいかなくて修復箇所を探すのが手間になっています。
あとic 関連のボルトも4.5vがどこまで来てるかなどよく理解できていないので勉強が必要かと思ってます。
ブリッジ改造したりピックアップ交換したり楽しいそうですね^_^
自分はストラトのシングル派です。
またブログ拝見させて頂きます!
by まさお (2020-06-11 23:18) 

KOVCH

確かにはじめから作り直した方が簡単ですね。
ただ、失敗してもエラーを探す工程を楽しむくらいの余裕で挑めば、修正も悪くない作業になりますよ^^
by KOVCH (2020-06-30 00:00) 

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