11月23日 極狐。 [回路図・レイアウト]
そろそろ作り置きのレイアウトも減って来ました。
今回は Fulltone の Ultimate Octave を参考にした機械です。
その名のとおり、オクターブをガチガチに強調したファズですね。
これのさらなる元ネタは fOXX の Tone Machine という機械。
fulltone はオクターブスイッチをフットスイッチにして、
トーンのコンデンサを切り替える fat-bright スイッチを増設してます。
何はともあれ、まずはレイアウトを。
コードネームは Ultimate foXX
↑ バナーをクリックするとアーカイブページにリンクします。
リストの中から同じバナーをクリックすればレイアウトのPDF。
ではレイアウトの説明を。
参考にしたのは GGG の fOXX Tone Machine。
回路はほぼ同じなので問題なく使えます。
MXRサイズのケースに合うように基板サイズを小さくして、
嫌いなジャンパ線と立てる抵抗を無くしました。
でもって、作りやすいようにあれこれやっているうちに大作業になってしまった記憶があります。
その甲斐あって、美しい基板レイアウトが作れたと自画自賛であります。
レイアウト用に変更した点がいくつかあります。
まず、FUZZコントロールの部分。
↓ fOXX の回路はこんな感じになってます。
↓ 一方、Fulltone の方はこんな感じ
10kの抵抗を前に入れて、100kのポットと並列で100kの抵抗を入れています。
これで、50kのCカーブと同じような動きを狙っています。
fOXX の 回路では 50kB のポットを使っているのですが、これだとFUZZツマミが使い難かったんですね。
最初はあまり変化せず、最後だけグワっと歪が上がる感じで。
なんでCカーブのポットを使わずにこんな回りくどいことをしているかと言うと、コストを少なくするためです。
今は、Cカーブのポットはほとんど作られていません。
使うとしたら、特注になってしまうんですね。
さらに、他のポットと同じ100kという値にすることで仕入れをしやすくしています。
何でもそうですが、モノってのはたくさん買えば買うほど仕入れ値は安くなります。
電子部品の場合は特にそれが顕著です。
50kのポットと、100kのポットを50個ずつ仕入れるのと、
100kのポットを100個仕入れるのでは、
値段が倍ぐらい違ってくることもあります。
抵抗が2つ増えますが、抵抗はさらに顕著で、同じ抵抗を10本買うのと100本買うのとで、同じ価格になることもあります。
なので抵抗のコストはほぼ考えなくても良いでしょう。
ということで、ここを50kCから100kBのポットに変えるだけで、かなりのコスト削減になるんですね。
100kBのポットはフルトーンの他の機種でもたくさん使ってますし。
でもまぁ、我々自作家の場合は、そんなに大量に仕入れるわけではありませんから、値段もそんなに変わりません。
50kCのポットを使っても30円くらいしか違わないですから、ここは素直に50kCのポットを使いましょう。
抵抗が減った方が作りやすいですし。
レイアウトも綺麗になりますし。
Cカーブが手に入れにくい場合は50kBでも良いでしょう。
多少使いにくいだけで、使えないわけではありません。
Fulltone が行った一番大きな MOD が fat/bright スイッチの増設です。
元々の fOXX のトーン回路がこれ ↓
↓ そしてこちらが Fulltone のトーン回路
fat/bright なんて仰々しい名前が付いていますが、要するに、トーンに使うコンデンサを切り替えているだけです。
下に逃がすコンデンサの容量を大きくして、音域を広めにグランドに捨てて、
その分、小さ目のコンデンサでより高音域だけを拾ってブライトモードにするか
広めの帯域を拾って中域あたりを太くしたファットモードにするという狙いなのか
なんでこのスイッチを付けたのかは良く分かりませんね。
トーンコントロールのツマミは付いているのですから、トーン量を変化させることは可能です。
スイッチを切り替えるか、ツマミを回すかの違いでしかないと思うんですけどね。
トーンの変化域を広げたかったのでしょうか?
もしくは、シングルコイルピックアップと、ハムバッカーと瞬時に使い分けるようにしたかったのか、
ベースとギターと両方使えるようにしたかったのか。
fatモードでもツマミ半分から上でしか使わない、
brightモードでもツマミ半分から下しか使わない、
なんて人は、このスイッチは取っ払っちゃって fOXX と同じにしてしまっても良いでしょう。
その方が作りやすいし。
その場合は、レイアウト下の赤文字の0.1μのコンデンサを0.047μに、
レイアウト上側の0.001μのコンデンサを0.0033μに変えて、
2Bのところから直接トーンポットの3番端子に繋げればO.K.です。
0.015μのコンデンサは入れなくてオーケー。
スイッチを入れなくて、コンデンサを入れ替えて使っても良いでしょう。
その辺はお好みでアレコレやってみても良いかもしれません。
「可変域が多い方が良い」と言う人もいれば、
「パーツが増えると音が劣化するからスイッチは無い方が良い」
と言う人もいるでしょう。
どちらでも「自分が一番気持ち良く弾ける」方を選べば良いでしょう。
何度も言いますけれども、どうせトーンコントロールが付いているので、ファットとブライト両極端の音を求めていない限り、どっちでもあまり変わりはないと思います。
逆に、スイッチ一つ追加してどれくらい音が変わったと感じるかもその人次第でしょう。
注意しなければいけないのはトランジスタですね。
フォックスは何を使っていたかは分かりませんが、GGGでは2N3904などのアメリカ産トランジスタを推奨していますね。
これは足の配置が、EBCになっています。
GGGのレイアウトを参考にしたので、最初に作ったレイアウトもEBCの並びになっています。
拾った回路を信じるならば、フルトーンはパナソニック製の 2SC828 を使っています。
ただ、2SC828は今は廃版になっていますから、手に入れるのはそれほど難しくはないですが、ちょっと値段は高くなっています。
2SC1815などの手に入れやすいものに変えてしまっても良いでしょう。
その際はGRとかBLとか増幅率の高いランクを選んだ方が良いかもしれません。
国産のトランジスタを使う場合は、足の配置がECBになっているので注意が必要です。
レイアウトPDFの2ページ目が、国産TRの配置に合わせたものになっています。
作りやすさは変わりませんが、基板の並びの美しさが少し崩れます。
それが少し残念。
フルトーンが今どんなトランジスタを使っているかは分かりませんが、手持ちの828が無くなったら、代替品に変えていると思います。
これだけ歪むファズだとね、トランジスタの違いによる音の変化はあまり関係なくなります。
せっかくポットでコスト減らしているのに、ここでトランジスタに拘って高くつくようなことはしないと思います。
一方、ダイオードはゲルマニウム・ダイオードを使っています。
ここは拘りポイントです。
ココでも実験していますが、ゲルマとシリコンで、ファズの歪はかなり違って来ます。
この音を出したいなら、ここは多少コストがかかってもゲルマニウムダイオードを使うしかありません。
フルトーンは1N34を使っているようですが、ゲルマなら1N60などを使っても良いでしょう。
「どうしてもシリコンを使いたい!」「10円でも安く作りたい!」という人は、D1とD2ならシリコンに変えても影響は少ないかもしれませんがやってみないとどうなるかは分かりませんが、フルトーンがやってないところを見ると、ここもゲルマから変えちゃダメなんじゃないかと言う気もします。
PDFには、MXRサイズで作るときのケースレイアウト例ものせてあります。
フルトーンではフットスイッチになっていたオクターブスイッチをfOXX準拠のトグルスイッチに戻してあります。
個人的には、ここを演奏中に踏み変えることは無いと思うので。
何ならオクターブ状態で固定してスイッチ廃止しても良いと思ってるくらいです。
この辺はお好みで、フットスイッチにしても良いでしょう。
その場合は、ON/OFFのスイッチを左に寄せて、右側にオクターブスイッチを付けて横並びにすれば良いでしょう。
モーメンタリーのフットスイッチにして、踏んでる間だけオクターブが出るようにしても面白いと思います。
自分のプレイスタイルや好みに合わせて自由に変更できるのが自作の最大の利点です。
元になった機械にこだわらずに、どんどん変えてしまいましょう。
というわけで、Ultimate foXX オクターブファズのレイアウトでした。
Youtubeでも Fulltone Ultimate octave と検索すれば試奏動画などを見ることができます。
なかなかに過激なファズ音を出しつつ、フルトーンらしい使いやすさも考えられていてかなり良い感じのファズだと思います。
フルトーンはOCDやFulldriveなど、ハズレの無いメーカーですからね。
これもかなり作ってみたいエフェクターのひとつです。
今はベースに使うことも考えて、あれこれとファズを研究中です。
次回も、ファズ関連のレイアウトになるかもしれませんが、まったく違うモノになるかもしれませんその辺はまぁその時の気分次第です何かリクエストなどがあればこたえるかもしれませんが何もしない可能性も多分にありますのでなんともいえませんがとにかくコメントなどは大歓迎です。
【追記】
アフィリエイトも載せておきましょう。
まずは元ネタオリジナルのフルトーンアルティメットオクターブ
そしてこちらは自作エフェクター界を壊滅に追いやった一翼Joyoのコピーモデル。
作るのが面倒くさいけどオリジナルは高くて買えないしちょっとくらい音がヘボくてもいいやというかたはこちら。
中華ペダルの音の違いがどれくらいになるかは、その人次第でしょう。
弾いていて気になる人は気になるだろうし、気にならない人は気にならないでしょう。
聴いている人がどう思うかは、結局は弾き手の実力次第でしょう。
でもまぁ、中華コピーペダルばっかりになっちゃったら、エフェクターの未来は無いでしょうね。
どのメーカーも新しい回路開発するのばかばかしくなっちゃいますからね。
すでに、大手メーカーの出す新しいモデルのほとんどがコピーできないデジタルのチップを使ったものですよね。
アナログエフェクターの未来は暗い。
ちなみに俺はめちゃくちゃ気にする派です。
KOVCHさん、こんにちは。
「追記」にグッときました(^^) 中華モノはね・・・最近流行の極小タイプもどうだかって思ってます。チップ部品じゃねぇ。
by marumitone (2015-11-25 20:59)
marumitoneさん、おはようございます。
回路コピーは違法じゃあないんですけどね、あまりにあからさますぎてね。
品質も良くないし。
同じコピーなら絶対自作した方が良いんですけどね。
JoyoとMooerがもっとガンガンに値上げしてほしいと思ってます^^;
チップパーツもね、どこまで音に影響があるのかは分かりませんが、ロマンが無いですよね、見た目に^^
by KOVCH (2015-11-28 08:13)